カムカムエヴリバディ、雉真稔を知っていますか?

 


朝ドラ、見てます。

基本的に月ー土で録画しつつ、リアルタイムで見る事も多いです。カムカムは、深津さんご出演だし三世代ストーリーということで、楽しみにしつつもヒロイン以外の出演者を知る事なく事前番組もSNSも何も観ることなく初回へ。


第3話、爽やかハンサムで初恋の概念が服着て歩いてるような人が和菓子屋たちばなにやってきた。後で名前を録画で確認した時にほっくんやん!とびっくりしたのが遠い昔のようですが、まだ1か月も経ってない…。

ドラマの流れがそうなのだけど何年も見続けてる気分なのに、まだ4週目に入ったばかりの、濃縮還元っぷり。役者さんの力量と脚本と演出に毎日翻弄されつつ、今後の展開を前にふと、気になっていたことを思い出しました。


稔さんて、いつから安子ちゃん好きだったの?


8話最後に岡山まで追いかけて来た時、リアルに声出したもんな。え?そこまで思ってたの?妹みたいに思ってるのかと思ってた!アルデバラン聴きながらしんみり初恋の終わりを噛み締めてたのに!稔さんが松村北斗だと気づいた時以上のびっくりよ!

あれよあれよの怒涛の展開すぎて、安子ちゃん視点で見てたらいつからだったのか気づけなかったので、稔さん視点で。公式は見てないので(でてるのか?)あくまでドラマ見た個人的な見解です。


ヒロイン安子と雉真稔の出会いは、大学予科生として大阪から帰省して来た夏休み。家族への手土産を忘れた稔が、たまたま入った菓子屋さん。

自分とこの菓子が大好き!と力説する売り子さんは、客商売の娘らしくよく人をみてる。来店した時に涼むようにと扇風機を向けるさりげない優しさ。

安子と書いてあんこと呼ばれる売り子さんは、おはぎの話をしてくれた。

二度目の偶然は、たちばなのおはぎを気に入った父親からもたらされた。あんこと呼んでるのが、自分の弟だったこと、たまたま通りがかった外国人が英語で話しかけてきたこと。今度は稔がラジオの英会話講座の存在を教える。

三度目も、また偶然。書店で本を見ていた時に再会。自分が教えたラジオを聞き、紙に書き起こしていた。英会話を歌の様だと表現した彼女に、テキストの存在を教える。テキストをキラキラした表情で見つめる彼女を見る稔…。

ちょっと、はにかんだような、照れたよな仕草。

帽子触ってるし…。

(髪の毛をさわる、という行為。好きな女性に自分を良く見せたいという心理学的なアレ?)


え、ここジャネ???

堕ちた?気づかぬうちに恋に堕ちた?


実際、その後の展開を見ると自転車を押してゆく安子に声かけてるし。(二度目の再会も同じよなシチュエーションだったはずなのに!)

自転車の乗り方教えてあげる約束とりつけてるし!!

お互い、なんとなーく離れがたいよな別れ方だったし!!!

つか名前、初めて呼んだし!!!!

あっという間に自分のテリトリーである喫茶店に連れて来てるし!!!!!

自転車練習で、店番にきぬちゃん居た時、腕時計つけてんのに、時間に全然気づかなかったし!!!!!!

辞書あげちゃってるし!!!!!!

お土産口実に店まで一緒に帰って来てるし!!!!!!!!


まだ無自覚かわかんないけど、稔さんの初恋、もう始まってたやん。知らなかった。その後の勇ちゃんのファインプレーにより、会えない時間に愛、自覚したんだろうか。

お手紙書いていいですかのくだり、安子は黒目を泳がせながら不安げだけど、稔はもうしっかり安子ちゃん見てんだもんな。そっかー稔さんの恋も走り出してた。


雉真稔という人物は、誠実というよりとても聡い人だと思う。

幼い頃、きっと野球もやったけど向いてないことがわかっての切り替え早そうだし、楽器も音楽も、好きだけど親の反対を押し切ってまでしようと思わなかった。(実際、自分の城である大阪の下宿先にひとつも音楽のものは見当たらない。)英語に関しては、戦争に取り上げられたようなもんだけど、英語と、雉真の後継者として将来海外に行く事だけが全てだった。

岡山にいた時は周囲から常に雉真の跡取りとしての視線を感じ、仕事趣味人間な父親の敷かれたレールに黙って乗る。息が詰まってる事に気づきながらも親の期待に応えること。自分には、それしかできないとかなり早い段階で理解し、ずっと努力してきた。

そんな時に出会ったのが、弟と同じ歳の女の子。彼女は、自分の知らない事を教えてくれる。

ここで稔は、知識としては知っている様なことでも、実感として伴っていなかったことが多かった事に気づいたはずだ。自社製品を海外に広めたい稔に、顧客の事を想像する発想をくれたり(それまで雉真の製品使う人のことなんか考えた事もなかっただろう)

季節を大切にする和菓子屋さんで庭に花が咲き誇ってる家の子らしく、季節感あふれる手紙をくれて、そこで稔も学校までの道のりに咲く花の存在に気づいたのかもしれない。

同じものでも季節によって名前が違う、おはぎとぼた餅みたいに、今まで見ていたものの見え方が変わって色づきはじめたからこそ、聡い稔は岡山まで急行で追いかけた。自分には、弟のように自らの力で道を切り開く事はできないけど、安子と一緒なら自然と笑えるし、息ができる事を知ってしまったから。

だからこそ、別れを告げられてからの稔は、まるで光の届かない深い海の底を歩いてるようだった。

いつもの生活をこなしつつも、目の前は薄い膜がかかっているような。一人と、誰かと心を通い合わせた後の一人は違う。

祝言の相手として目の前に安子が現れた時、立ち去る父親の後ろ姿におじぎをした後、一度大きく深呼吸した時、やっと海の底から浮上した、様に見えた。戦争が二人を結び、また引き離す。

それでも、安子の前にいる新婚時代の稔は雉真の跡取りでもなく一人の青年として年相応の姿をみせていて、心の底からよかったなーと思えたんだけど…

 

え、てか、稔さんてこの三世代物語、ただの初恋の思い出どろこかめっちゃ重要人物だった?三度目のびっくりだよ。

ただいま出征中な稔には、30や40歳になっても、学生服を着て海外に行って欲しい。彼にはあの格好がめっちゃ似合っている。

経営は勇ちゃんに任せればいいよ、のんびり海外で歩く広告塔になろ!

学生服着た稔さんなら、その場にいるだけで、きっと向こうから声かけてくるよ。


君のその素敵な服、どこで売ってるの?って。